温泉好きな方、よく入る温泉の泉質がどんなものなのか、また、温泉の泉質は何種類あるかわかりますか?
先に答えを言うと…なんと10種類もあります!
硫黄泉や塩化物泉など、名前は少し耳にしたことはあるけど、中身がどんなものなのかわからない方は多いのではないでしょうか?
泉質の違いって何なの?
乾燥肌だけど、美肌になれる泉質ってあるのかな?
温まりやすい温泉って何?
こんな疑問をお持ちの方へ、温泉好きの現役薬剤師が泉質の違いと効果・効能をわかりやすく解説いたします。
温泉の泉質や働きを理解して、あなたにぴったりな泉質を見つけましょう!
【全部で10種類】温泉の泉質の違いと効果・効能は?【美肌にも】
日本に数多くある温泉は含まれている化学成分の違いと量により10種類の泉質に分けられます。
その他に色、酸性度(pH)、匂いや肌触りなど、さまざまな特徴を持つので、一つとして同じものはないと言えるでしょう。
特徴と適応症をまとめましたので順に説明していきます。
- 単純温泉
- 塩化物泉
- 炭酸水素塩泉
- 硫酸塩泉
- 二酸化炭素泉
- 含鉄泉
- 酸性泉
- 含よう素泉
- 硫黄泉
- 放射能泉
単純温泉
単純温泉は溶け込む成分が一定値に達していない湧出温度が25℃以上の温泉です。
日本で一番数が多く存在しており、無色透明で無味無臭という特徴があります。
みなさんが想像する、見慣れている温泉がこちらですね!
pHが8.5以上ならアルカリ性単純温泉といわれます。
体への負担が少ないため、高齢者や小さなお子さん、肌が弱く敏感な人にとっては安心ですね!
塩化物泉
塩分を含む温泉で海岸や火山の近くに湧いている塩化物泉は、単純温泉に次いで多く存在しています。
水分が蒸発したあと皮膚に塩分が付着するため保温・保湿効果が高く、古くから「温まりの湯」と呼ばれており、冷え性の方におすすめです。
塩分が主成分なため、飲用すると塩辛く感じ、塩分濃度が濃い場合やマグネシウムが多い場合は苦く感じられます。
湯あたりしにくく、高齢者や小さなお子さんでも安心して入れますよ!
硫黄泉
硫黄泉は温泉らしい硫黄臭が特徴です。
含まれる硫化水素ガスは末梢毛細血管を拡張させるため、動脈硬化症にも良いとされます。
ガスの濃度が濃いものは有毒なため、ガスが噴き出しているようなところには近寄らないようにしましょうね。
角質を柔らかくし、表面尾の細菌やアトピーの原因物質を取り除くため皮膚疾患をお持ちの方にはおすすめです!
しかし、刺激が強いため皮膚が弱い方は注意が必要です。
炭酸水素塩泉
炭酸水素塩泉は皮膚の角質を柔らかくする作用があり、皮膚の油分などを乳化して洗い流します。
特にアルカリ性のものは湯から上がると肌がツルツルになるとされ、俗に言う「美肌の湯」がこちらです。
湯上がりもサラッとして清涼感があります。
きれいになりたい方や、女性にとてもおすすめな泉質です!
ぬるぬる、とろとろとした質感でクセになる方も多いでしょう。
美肌になりたい方、美人の湯について詳しく知りたいと思った方は以下のページでも紹介していますのでご覧ください。
酸性泉
酸性泉はpH3未満の酸性の温泉で口にすると酸味を感じます。
ヨーロッパ諸国ではほとんどみられない泉質ですが、日本では各地に存在するので嬉しいですね。
旧泉質名は明ばん(みょうばん)泉です。
体全体の調子を整える効果のほか、酸による殺菌効果で皮膚を清潔に保つので、アトピー性皮膚炎の改善が期待できますよ!
しかし、ピリピリと肌がしみる感覚と刺激が強いため、皮膚の弱い人は注意が必要です。
硫酸塩泉
硫酸塩泉は保湿効果や血圧の降圧効果が高いとされ、古くから「傷の湯」、「中風の湯」と呼ばれる温泉地が多く存在します。
お肌にうるおいを与えてくれるので、しっとりとしたお肌になりたい女性の方にもおすすめですよ!
カルシウムを含むものは、保温効果が高く腰痛、肩こりにも効能があるとされるので、同じ泉質でも多く含まれている成分も一緒に確認しましょう。
湯自体は無色透明で、苦味があります。
飲用で胆のうを収縮させ、腸のぜん動を活発化させます。
二酸化炭素泉
二酸化酸素泉はその名前の通り、二酸化炭素(炭酸ガス)を含む温泉で、肌につく気泡により爽快感があるのが特徴です。
ソーダ水の温泉に入ることを想像するとわかりやすいでしょう。
日本では比較的少ない泉質です。
二酸化炭素には血管拡張効果があるため、皮膚から吸収されて血液の循環が良くなります。
皮膚や筋肉の酸素が増加し、新陳代謝も促進するので、疲労回復にもいいですね!
加温すると炭酸ガスが揮散してしまうため、ぬるま湯が多くあります。
炭酸のシュワシュワとした喉越しが楽しめるので、飲用にもチャレンジしてみるのもいいでしょう。
含鉄泉
含鉄泉は湧出直後は透明ですが、鉄分が空気に触れて酸化することで茶褐色に変化します。
よく温まることから更年期障害などの疾患に効能があります。
冷え性の方や、ホルモンバランスが乱れている方におすすめな泉質です!
鉄が主成分のため、飲用できる温泉地では鉄欠乏性貧血への期待もできますよ。
含よう素泉
含よう素泉は活性度の高いヨウ素を含む温泉です。
ヨウ素はうがい薬や傷薬にも含まれているほど殺菌力が強いものですが、そのヨウ素が含有する温泉があるのです。
温泉にはこのような変わり種の泉質もあるので面白いですよね!
非火山性の温泉に多く、時間がたつと黄色く変化します。
飲用により体内に入るとヨウ素により甲状腺ホルモンが活発になり、代謝を促進するとされます。
放射能泉
気体の放射性物質「ラドン」を含むトロトロとした温泉です。
ラジウム泉とも呼ばれます。
放射能と聞くと人体に悪影響があるのではないかと思われがちですが、レントゲンなどと比べてもとても少ない量なので問題ありません。
むしろ、微量な放射能は人体に良い影響を与えることがわかっています!
ラドンは皮膚だけではなく、呼吸器からも吸入できます。
微量な放射能は炎症に効果があるので、高尿酸血症(痛風)、関節リウマチにも効果が期待されています。
慢性疾患をお持ちの方におすすめな泉質ですね!
【温泉って飲めるんです】飲泉とは?
飲泉は「化学的物質が入った温水を飲むこと」です。
温泉水を体内に直接取り込むため、消化器官から成分を吸収できます。
泉質にもよりますが、入浴とは違う効果・効能があります。
飲泉の歴史は古くからありますが、昔の人は薬の代わりに温泉を飲む飲泉をしていたようです。
つまり、飲泉は「薬を服用すること」と同じと言えますね。
薬を服用する際にも飲み方や禁忌があるのと同じで、飲泉にも何点か注意する点があります。
飲泉の注意する点とは?【守って飲泉してみよう!】
飲泉を薬だと考えれば、飲泉を安易にすることは良くないということは想像できますよね。
環境省が飲泉についての利用基準を定め、注意事項を8点ほど発表していますので、紹介します。
- 飲泉療養を行う際は、専門的知識を有する医師の指導を受けること。また、服薬治療中の人は、主治医の意見を聴くこと。
- 15歳以下の人については、原則的には飲用を避けること。ただし、専門的知識を有する医師の指導を受ける飲泉については例外とすること。
- 飲泉は決められた場所で、源泉を直接引いた新鮮な温泉を飲用すること。
- 温泉飲用の1回の量は一般に100~150mL程度とし、その1日の総量はおよそ200~500mLまでとすること。
- 飲泉には、自身専用または使い捨てのコップなど衛生的なものを用いること。
- 飲泉は一般に食事の30分前に行うことが望ましいこと。
- 飲泉場から飲用目的で温泉水を持ち帰らないこと。
- 飲用する際には、誤嚥に注意すること。なお、嚥下障害を発症している人は飲泉をしないこと。
以上の8点です。
飲泉にもルールが決まっているんだね
安全に飲泉するためにも、ご自身の体調と相談しながら少しずつ行うことが大切ですね。
また、泉質によっては体に及ぼす影響が大きいものがあります。
例えば、炭酸泉や硫黄泉は成分上下痢を引き起こしやすく、胃や腸が弱い方などは飲泉を控えた方がいいでしょう。
現在、日本では各都道府県の判断で温泉の飲用が許可されたもののみ、飲泉が可能になります。
飲用許可がされているかのチェックは忘れないようにしてくださいね!
注意することはありますが、温泉はつかるだけではなく、飲んでも効果が得られるなんてすごいと思いませんか?
限度を守れば悩みに効く「薬」になる飲泉。
ぜひ、入浴だけでなく、飲泉にもチャレンジしてみるのはいかがでしょうか!
まとめ
いかがでしたか?
本記事を見て、温泉の泉質の違いと効能・効果の理解が深まったのではないでしょうか?
色や匂いなどの見た目の違いだけではなく、温泉の中には目には見えない成分がたくさん含まれており、人の体に良い影響を与えることがわかりました。
また、入浴だけではなく、飲泉も良いものということもわかりましたね。
「ツルツルすべすべの肌になりたい」という希望や「冷え性がつらいんだよな・・・」などの悩みは人それぞれで、底がつきないほどあると思います。
そんな悩みを解決できるような、自分に合った泉質の温泉に出かけてみるのはいかがでしょうか!
最後まで見ていただきありがとうございました。
コメント